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商品開発の経過報告とオタク話あれこれ
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こないだUS版Blu-rayで「遊星からの物体X ビギニング」(仮)を鑑賞してのレビューを書いた後、色々追記したい事が出てきましたので、再びこのネタを。

いつか日本公開される日まで待つ、という方は全力スルーしてください。

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いや、ほんとに見た時は「お話以前に、アイデア貧困でありきたりなビジュアルのCGクリーチャー映画だな…」と思ったんです。

ところがメイキングを観てみると、ほとんどのシーンでクリーチャーの現物をきっちり作っているんですわ、これが。

メイク、着ぐるみ、アニマトロニクス、そらもうあの手この手です。
メイキング映像の段階では、82年版のような刺激的なビジュアルはないにせよ、グロなモンスター映画としては十分期待できそうな感じなのです。

なぜにこの2011年版が見世物としてもアウトなのか?
これが、ほんとに「CG」のせいなんですよね。

迫真の出来のモンスタースーツやメカ。
それを照明やカメラアングル、編集でいかに実在するように見せるか?に腐心すればよいものを、あくまで合成用素材として撮影し、後からCGで色々と付け足している訳です。

一番顕著なのは、ほとんどのシーンでうねうね動くエイリアンの「触手」がCGで追加されている訳ですが、これがあるおかげで、せっかく素晴らしい出来のモンスタースーツやアニマトロニクスが台なしになっているのです。いや、ほんとメイキング観てたまげました。

つーか、触手のイメージがありきたりで貧困。

82年版の「物体X」以降、それの影響を受けた映画、コミック、ゲーム、アニメなどの創作物が30年にわたって無数に作られました。

「何を今更?」程度なんですよね、2011年版の“触手”的なるものは。
どういうメカを使ったのか、82年版、ドッグシング(変形した犬)の背中で蠢く無数の触手の描写は、今見てもとても面白いビジュアルだったりします。あれくらいの映像は作って楽しませて欲しいものです。

で、話を戻すと、CGを使って表現を更に深めるはずが、「これ全部CGだろ?」っていう風に見えてしまい、観客を興冷めさせる訳です。

あと、今回の物体Xは炎で焼かれるシーンも多いのです。
で、幾つかのシーンでモンスタースーツを着たスタントマンさんが、ファイヤースタントを行ってるんですが、それにCGで炎を足しちゃってる訳です。
で、そのCG炎があるおかげで、観ているこっちは「はいはい全部CGね」みたいな。

スタントマンさん、焼かれ損ですわ!

つーか、もっと手間暇かけて、緻密に現場をセッティングして、後加工の必要がない映像を現場で撮れよ!とどやしつけたくなります。昔よりも技術も進歩してるしノウハウも蓄積されてるハズなんだから。

後から足せばいいや、みたいな緊張感のなさは絶対に存在してますよね、今の映画。

で、思ったのです。
よく一部で言われる「CGつまんねー」って意見。
私もCGの何がダメで、何がアリなのか?を日々真面目に考えているのですが(ホントですよ!)、本作は部分的に追加したCGが災いし、見世物としての質感や魅力が減衰させられるという、面白い実例を見せてくれました。


90年代以降の映画にはいくらでも「え、それCGなの?」って後から驚く地味なCGカットがあります。それは実に正しい訳ですよ。天候をいじったり、落下するスタントマンに役者の顔を合成したり。

やっぱCG使うならCGカットだと思われちゃダメなんですわね。
CGが使われたカットだと観客に認識されちゃうって事は、すなわち昔の特撮で言えばピアノ線が丸見えになってるくらいの恥だと知れ、ハリウッドのCGオペーレーター共!みたいなw

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あと、この2011年版「物体X 」は確かに映画としても残念な仕上がりです。
特撮面だけじゃなくて、後半どんどん「?」な感じになっちゃいますし、そもそも作品自体を前作の前の話 “プリクエル”なんかにしちゃったもんだから、話に制約ができちゃって、転がりようがない、みたいな。

そもそも、82年版の秀逸なところは特撮よりも原作の見事な改変です。原作では南極基地のメンバーが氷原で宇宙船を見つけ、更にその近所で氷に埋まった宇宙人を見つけて掘り出し、それが溶け出して…という展開。

そのまだるっこしい段取りを、アメリカ基地へノルウェー隊の犬が逃げこんでくるというシチュエーションで一気に省略したプロローグは、作劇テクニックとして見事です。

で、その省略によって生まれたのが原作「影が行く」にも、H・ホークス版「遊星よりの物体X」にもない、ノルウェー隊基地全滅のシチュエーション。

アメリカ隊のメンバーがノルウェー隊基地へ行ってみると、基地は荒れ放題で無人。カミソリで自害した死体があったり、壁に斧がささっていたり、あとは不気味な物体の焼死体…みたいな。

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「なんだか分からないけど、大変な事がここで起こったんだな」と観客のインスピレーションに任せたシーン。物語のまだるっこしい段取りを省略するための方便として用意し、詳しく描く必要がない(むしろ描くべきでない)と処理した基地壊滅のくだりを、ご丁寧に補完する2011年版「物体X 」は、映画の根本的な立ち位置が間違っていたのかも知れません。

本作には当初、「バトルスター・ギャラクティカ」のプロデューサー兼脚本家のロナルド・D・ムーアの名前が挙がっていたんですが、完成品からはムーアの名前がありません。どこかの段階で降りたんでしょうね。「ギャラクティカ」はリメイクモノとしては「これでもか!」ってぐらい面白いアイデア、アレンジが投入された番組だっただけに、ムーアが本作に関わっていれば、もうちょっと面白いアクロバットが見られたかもしれません。

という事で、ほんとにいつかはこの2011年版、日本に輸入されるのかな?

いや、ここまでボロカスに書いた私の文章を読んでから2011年版を見ると「なんだよ、そうでもないじゃん」と思えるかも知れませんので、期待してくださいw


最後に、多少のネタバレ上等ならば、こちら2011年版の5分弱の特撮メイキング映像を是非。
CG加工前のクリーチャー映像見ると、やっぱなかなか面白そうな映画に見えると思います。

映画本編を観てがっかりするよりは、このメイキングを見て期待を膨らませる方が、映画一本観るよりも価値があるような気もします。マジで。
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