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商品開発の経過報告とオタク話あれこれ
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先日、地上波で「恋空」をやっておって、うちの奴がそれを初視聴。
私はあらすじを聞いただけで「アホか…」とスルーし続けてるのですが、結局、うちの奴は最後まで食い入るように観て、まるで漫画みたいな内容なんだけど、かなりインパクトがあったと評しておりました。

一部では「SF」とまで揶揄されているあの作品を、未見な私がどうこう言うのも無理があるにせよ、色々な話を聞くに、やっぱり「恋空」というのは、ドラマツルギーやリアリズムなんてどうでもよく、女性が持つある種の願望を、枝葉を切り払って単純化、凝縮させたものなのではないか、と勝手に思いました。

先に書いたゾンビ妄想アニメ「学園黙示録〜」も同様のシロモノでしょうし(7話はいよいよオッパイばっかで、ウンコちんちんを連呼する小学生レベルでしたね)、世紀末ごった煮B級映画「ドゥームズデイ」とか、あからさまな腐女子妄想ドラマ「メイちゃんの執事」とか、最近、そういう一線を超えてしまったフィクションが徐々に増加傾向にあるように感じています。

私はしょっちゅう、フィクションに触れては「あれがなってない、これがなってない」と文句を垂れているのですが、その評価基準の柱は、主人公をちゃんとイジメているか否かという点です。

主人公をどんどん不利な状況に追いやる事で視聴者、読者の興味を惹きつけ、それをあるところで解消させて強いカタルシスを産み出す手法は、エンタメフィクションにおいてはもはや方程式、テンプレみたいなものと言ってもいいでしょう。

アクションでも恋愛ドラマでも、“敵”が強ければ強いほど物語は盛り上がるし、シチュエーションコメディなら、主人公が無理難題を突きつけられて、ドタバタする様で笑いが発生します。スポーツものなんかで、主人公のチームメイトが皆ド素人で前途多難…ってのも超王道展開ですね。

漫画家、島本和彦の代表作「逆境ナイン」は、フィクションにおいて逆境は必須要素であるという大前提をパロディ化した意欲的漫画でした。

最近だと、「24」「プリズンプレイク」などはその手法を徹底的に生かしたヒットコンテンツだと思います。「24」はリアリズムにこだわらず、主人公をとにかく危機に合わせ続ける事に注力した、まさに画期的な作品でした。といってもシーズン2までしか見ていませんが。

「プリズンブレイク」の場合は、ほとんどが刑務所の中で展開されるシリーズ。そもそも刑務所という舞台は、潜水艦内と並んで、危機的状況の宝庫。よくもまあそれでTVシリーズを作ろうと思ったなぁ〜と感心したもんです。といいつつ、シーズン1の途中までしか観ませんでしたがw

ともあれ、主人公の逆境という形で、観客・読者にストレスを与え、やがてそれを解消する事でカタルシスに転化させる王道的手法は、まず人が殺され、その犯人を探す捕物帳スタイルやら、障害をはねのけて結ばれる恋人たちの物語やら、俯瞰視してみると、不毛なマッチポンプ作業にも思えたりします。

しかしやっぱり技術的に優れた匠の手による逆境展開には唸らされる場合も多いですし、この手法が今後もエンタメの王道であって欲しいと願います。

問題はその方程式を使いこなす送り手がどんどん減ってきていること。そしてそういった作劇論から無自覚に逸脱し、観客にストレスを与えるどころか、砂糖菓子のカタマリのような「気持ちいい事しか描かない」妄想系フィクションが徐々に増えてきていること。それを許容する観客・読者も増えてきていることが実にいやーんな感じなのです。

そりゃ、妄想系フィクションも新しいタイプの娯楽の在り方だとは思いますが、やっぱり技法として研鑽されてない素人仕事にしか思えないので、どうにもまだまだ私などは許容できませぬ。しかしそういう考えがもう既に古いのか?

ちなみにそういう私の思考の原点がこちら。



事あるごとに人に勧めている作家HOW TO 本(私も人に勧められて読んだ)。

フィクションの在り方について具体的に解説した面白すぎる本なので、作家志望でない方も十二分に楽しめるでしょう。また、ここで示されている作劇テクニックあれこれについての解説は、小説にとどまらず映画鑑賞をも豊かにしてくれる事でしょう。好き嫌いは別として、作家として天下を取ったクーンツが書いているので、説得力も抜群です。

しかし考えてみたらこの本が書かれたのは80年頃。もう30年前の本なのかよ…。
こういうキチンとした技術論が今後も継承される事を祈るばかりです。

妄想展開ってやっぱ、その場かぎりの刺激でしかなく、反芻に耐えられず、後に残らない、刹那的な娯楽だと思うんすよね〜。
これだけ娯楽コンテンツが溢れ、色々なルートで入手可能な時代ですから、やはり作り手としては、せめて2回観てもらう・読んでもらうものを目指して欲しいものです。



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