商品開発の経過報告とオタク話あれこれ
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2010年9月17日、カナザワ映画祭前夜祭の特別野外ステージにて、幻のホラーフィルム「シェラデコブレの幽霊」が、本邦初の日本語字幕付きバージョンにて無料公開されました。これまでも字幕なし状態では何度か自主上映されていたようですが。
現在、フィルム所有の方が権利関係をオールクリアにして、パッケージソフト化しようと努力されている段階。実現の目処がどのくらいなのかはわかりません。今回の字幕付き上映という機会を逃すと次にいつ観られるかわからない状態なので、途中合流の仲間たちと共に、金沢まで東京から車を走らせた訳です。
野外スクリーンの前に集まった大勢の観客。最終的にどれくらいだったのか?
ざっと5~600人はいたように見えましたが、もっと多いのかも知れません。
当時リアルにTV放映で視聴された方もいらっしゃったみたいでしたが、ほとんどが私らと同様、「探偵ナイトスクープ」における「シェラデコブレの幽霊」をレポートした回を観た上で、好奇心やら義務感にかられて会場へ馳せ参じたのでしょうね。
狭い野外会場にひしめき合う観客。映写機トラブルという不測の事態が発生し、1時間以上も待たされせいもあり、いよいよ高まる期待感。
そんな中で、遂に大勢の観客たちは、初の字幕付きという最良のシチュエーションにて伝説のホラーフィルムを鑑賞したのでした。
以下、箇条書きレビューで
●ファーストカットからいきなりむせび泣く女幽霊の声。このインパクトは凄い。久々に背筋がぞくっと来ました。
これは噂に違わぬタダゴトではないフィルムかもよ?!と期待感MAX!
以後もこのむせび泣き音声を全編に渡って出し惜しみすることなく、じゃんじゃん使用。
●街並みのロングショットを飲み込むように、浜辺に打ち寄せる波の映像がワイプしてくる。これも実に面白い表現。
●依頼人であるマンドール夫人に襲いかかるファースト霊現象。霊の叫びのような感じを、夫人に向かって吹きつける風で表現。カット割りもシャープで古びておらず感心。
●そしてあの有名な画像の幽霊がぼわわんと登場。
足がなく、ケープをまとった死神みたいなイメージ。例の不気味な顔は効果を狙ってポジネガ反転を繰り返したような感じ。これはこの世のものではないものを描くのに、コストパフォーマンスの高い効果かも。
ただ、合成技術の問題もあり、表現としては幽霊の全体像カットに関しては、結果的には今見るとキツイ。正直、観客の中にはここで萎えた人も多かったんじゃないでしょうかね?
GIFアニメで再現。クリックすると反転開始。
↑うーん、なんとなくこんな感じだったような気もする?
●で、なんだかんだあって、事件解決。探偵ものスタイルに霊現象を絡めたTVドラマのパイロット版としては、十分すぎる仕上がり。
主人公の建築家兼心霊探偵ネルソンと、彼に適切な助言を行う家政婦フィンチさんのコンビを主役にしたミステリードラマというフォーマット。これはオクラ入りしなければ、結構面白いシリーズになった可能性も。
“幻の超怖ホラームービー”ってベクトルとは別の意味で、価値のあるフィルムではないかと思います。
つーか、見事に「事件記者コルチャック」の先駆けっすな。あと、微妙に「妖怪人間ベム」の世界観に似通ったところを感じました。
●で、本作が唯一の監督作であるジョセフ・ステファノ。「サイコ」が代表作の脚本家です。
過去にも脚本家や撮影監督、役者などが監督した捨ておけない作品はあります。
初監督作「ショーシャンクの空に」でブレイクした脚本家のフランク・ダラボンみたいな“フツーな例”は置いといて、例えば「タクシー・ドライバー」等の名撮影監督、マイケル・チャップマンの数少ない監督作の一本に86年のTVムービーパイロット版「SFバイオノイド」(安い邦題だ…)ってのがあります。
お話は密かに人間と入れ替わっているアンドロイドたちの陰謀と戦う主人公の物語で、「ターミネーター」+「逃亡者」ってイメージすな。
「レイジング・ブル」でアカデミー撮影賞までゲットした御仁が、なんでそんなもんを監督したのか?良く解らんのですが、これがなかなか絵作りが素晴らしく(当たり前だ)、スタイリッシュな編集のおかげもあって、拾い物感&レア感が溢れる実にナイスな作品に仕上がっています。
丁度、YOUTUBEに劇中に挿入される孤独な主人公の逃亡模様を表現したMTV風シーンのファイルが。この時代ならではですね。で、天使の羽を主人公にディゾルブさせるカットとか、ほとんど意味ないんだけど、当時唸りましたね〜。
で、この作品、アンドロイドにすり替えられちゃった人たちの名簿を手に、警察に追われつつ、街から街へとアンドロイドハンターの孤独な戦いは続く…みたいなプロットが素晴らしすぎるので、まじで今からでいいからシリーズ化してください、お願いします! おっと、余談でしたねw
あと、俳優L.Q.ジョーンズ唯一の監督作にして準カルトムービー、「少年と犬」とかも異能が感じられる作品でした。しかしL.Q.ジョーンズが何本も映画を監督していたら「少年と犬」は後年どう評価されたか?
イーストウッドの監督作が処女作「恐怖のメロディ」だけだったとしたら、その素材の意外性と演出力の見事さに、作品の価値は更に高まったのではないか?
メル・ギブソンの「ブレイブハート」もしかり。
このジョセフ・ステファノ氏の演出家としての力量が、監督作一本きりのせいで推し量りづらく、その割にはホラー描写が斬新だったりするので、余計に「シェラデコブレの幽霊」という作品に神秘的なイメージと、強烈なレア感を付与しているように思います。
●「シェラデコブレの幽霊」は64年製作との事。この年代にして音響を軸にした恐怖描写を実践しているところはかなり斬新。
私も思わず“60年代にしては云々”って事を口走りそうになりましたが、よくよく考えれば、60年代は技工派ヒッチコックが「サイコ」~「トパーズ」の時期だし、モノクロ作品だって、内容だけでなく技術的にも素晴らしいサスペンス「何がジェーンに起こったか?」や「未知への飛行」もあるし、「地球最後の男」「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」といった脱クラシックモンスターなモダンホラーも誕生。挙句に68年頃になると書ききれないほどのトピックが出てきます。なんだ、今よりよっぽど技術面もしっかりしてるし、映画としても面白いものが多いじゃんw
とっくに映画が熟成していた60年代、気持ち悪い女のすすり泣く声を活かした音響ホラー的な作品がぽろっと出てきたとしても、決しておかしくないですね。
●この作品。それまでも書物などでは触れられていたと思うのですが、件の「探偵ナイトスクープ」によって、“幻の怖すぎるホラー映画”という印象付けが強烈に行われてしまいました。実際には今見ると、そんなに怖いものではないと思う観客がほとんどだと思います。
まあTV的には誇張して面白おかしくしたいところ。あのナイトスクープの回は楽しめる回だっと思いますし、まあやむなしでしょうか。
なので、今後も上映会やうまくいけばソフト化が実現した際に「なんだよ、話が違うじゃねーか!」と憤られる方も出てくるでしょう。という訳で、ナイトスクープの件は一切忘れて、“60年代にTV放映され、多くの人達にトラウマ的恐怖を植えつけた幻のテレフューチャー作品”くらいに肩の力を抜いて鑑賞に臨むのが正解ではないかと思います。
そうすれば、「なんだよ、話が違うじゃねーか!」じゃなくて、技術的に斬新なところや、TVパイロット版としてのポテンシャルの高さに、逆に得した気分になれるのではないかと思います。
もちろん、私的にも肩透かし的なところもありましたが、それでも観どころは多々ある面白いフィルムだった事は間違いなく、結果的に十分に金沢までの旅費はペイできました。
というか、仲間たちとの金沢までのロングドライブに加え、地面直座りのツラい野外会場、ひしめく人たち、映写機トラブルなどなど、この映画体験は一生ものでしょう。いやぁ、行ってよかったですマジで。
最後に今回の上映に携わった方々に感謝!
次、再見する機会がまたあれば、是非とも駆けつけたいと思います。
現在、フィルム所有の方が権利関係をオールクリアにして、パッケージソフト化しようと努力されている段階。実現の目処がどのくらいなのかはわかりません。今回の字幕付き上映という機会を逃すと次にいつ観られるかわからない状態なので、途中合流の仲間たちと共に、金沢まで東京から車を走らせた訳です。
野外スクリーンの前に集まった大勢の観客。最終的にどれくらいだったのか?
ざっと5~600人はいたように見えましたが、もっと多いのかも知れません。
当時リアルにTV放映で視聴された方もいらっしゃったみたいでしたが、ほとんどが私らと同様、「探偵ナイトスクープ」における「シェラデコブレの幽霊」をレポートした回を観た上で、好奇心やら義務感にかられて会場へ馳せ参じたのでしょうね。
狭い野外会場にひしめき合う観客。映写機トラブルという不測の事態が発生し、1時間以上も待たされせいもあり、いよいよ高まる期待感。
そんな中で、遂に大勢の観客たちは、初の字幕付きという最良のシチュエーションにて伝説のホラーフィルムを鑑賞したのでした。
以下、箇条書きレビューで
●ファーストカットからいきなりむせび泣く女幽霊の声。このインパクトは凄い。久々に背筋がぞくっと来ました。
これは噂に違わぬタダゴトではないフィルムかもよ?!と期待感MAX!
以後もこのむせび泣き音声を全編に渡って出し惜しみすることなく、じゃんじゃん使用。
●街並みのロングショットを飲み込むように、浜辺に打ち寄せる波の映像がワイプしてくる。これも実に面白い表現。
●依頼人であるマンドール夫人に襲いかかるファースト霊現象。霊の叫びのような感じを、夫人に向かって吹きつける風で表現。カット割りもシャープで古びておらず感心。
●そしてあの有名な画像の幽霊がぼわわんと登場。
足がなく、ケープをまとった死神みたいなイメージ。例の不気味な顔は効果を狙ってポジネガ反転を繰り返したような感じ。これはこの世のものではないものを描くのに、コストパフォーマンスの高い効果かも。
ただ、合成技術の問題もあり、表現としては幽霊の全体像カットに関しては、結果的には今見るとキツイ。正直、観客の中にはここで萎えた人も多かったんじゃないでしょうかね?
GIFアニメで再現。クリックすると反転開始。
↑うーん、なんとなくこんな感じだったような気もする?
●で、なんだかんだあって、事件解決。探偵ものスタイルに霊現象を絡めたTVドラマのパイロット版としては、十分すぎる仕上がり。
主人公の建築家兼心霊探偵ネルソンと、彼に適切な助言を行う家政婦フィンチさんのコンビを主役にしたミステリードラマというフォーマット。これはオクラ入りしなければ、結構面白いシリーズになった可能性も。
“幻の超怖ホラームービー”ってベクトルとは別の意味で、価値のあるフィルムではないかと思います。
つーか、見事に「事件記者コルチャック」の先駆けっすな。あと、微妙に「妖怪人間ベム」の世界観に似通ったところを感じました。
●で、本作が唯一の監督作であるジョセフ・ステファノ。「サイコ」が代表作の脚本家です。
過去にも脚本家や撮影監督、役者などが監督した捨ておけない作品はあります。
初監督作「ショーシャンクの空に」でブレイクした脚本家のフランク・ダラボンみたいな“フツーな例”は置いといて、例えば「タクシー・ドライバー」等の名撮影監督、マイケル・チャップマンの数少ない監督作の一本に86年のTVムービーパイロット版「SFバイオノイド」(安い邦題だ…)ってのがあります。
お話は密かに人間と入れ替わっているアンドロイドたちの陰謀と戦う主人公の物語で、「ターミネーター」+「逃亡者」ってイメージすな。
「レイジング・ブル」でアカデミー撮影賞までゲットした御仁が、なんでそんなもんを監督したのか?良く解らんのですが、これがなかなか絵作りが素晴らしく(当たり前だ)、スタイリッシュな編集のおかげもあって、拾い物感&レア感が溢れる実にナイスな作品に仕上がっています。
丁度、YOUTUBEに劇中に挿入される孤独な主人公の逃亡模様を表現したMTV風シーンのファイルが。この時代ならではですね。で、天使の羽を主人公にディゾルブさせるカットとか、ほとんど意味ないんだけど、当時唸りましたね〜。
で、この作品、アンドロイドにすり替えられちゃった人たちの名簿を手に、警察に追われつつ、街から街へとアンドロイドハンターの孤独な戦いは続く…みたいなプロットが素晴らしすぎるので、まじで今からでいいからシリーズ化してください、お願いします! おっと、余談でしたねw
あと、俳優L.Q.ジョーンズ唯一の監督作にして準カルトムービー、「少年と犬」とかも異能が感じられる作品でした。しかしL.Q.ジョーンズが何本も映画を監督していたら「少年と犬」は後年どう評価されたか?
イーストウッドの監督作が処女作「恐怖のメロディ」だけだったとしたら、その素材の意外性と演出力の見事さに、作品の価値は更に高まったのではないか?
メル・ギブソンの「ブレイブハート」もしかり。
このジョセフ・ステファノ氏の演出家としての力量が、監督作一本きりのせいで推し量りづらく、その割にはホラー描写が斬新だったりするので、余計に「シェラデコブレの幽霊」という作品に神秘的なイメージと、強烈なレア感を付与しているように思います。
●「シェラデコブレの幽霊」は64年製作との事。この年代にして音響を軸にした恐怖描写を実践しているところはかなり斬新。
私も思わず“60年代にしては云々”って事を口走りそうになりましたが、よくよく考えれば、60年代は技工派ヒッチコックが「サイコ」~「トパーズ」の時期だし、モノクロ作品だって、内容だけでなく技術的にも素晴らしいサスペンス「何がジェーンに起こったか?」や「未知への飛行」もあるし、「地球最後の男」「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」といった脱クラシックモンスターなモダンホラーも誕生。挙句に68年頃になると書ききれないほどのトピックが出てきます。なんだ、今よりよっぽど技術面もしっかりしてるし、映画としても面白いものが多いじゃんw
とっくに映画が熟成していた60年代、気持ち悪い女のすすり泣く声を活かした音響ホラー的な作品がぽろっと出てきたとしても、決しておかしくないですね。
●この作品。それまでも書物などでは触れられていたと思うのですが、件の「探偵ナイトスクープ」によって、“幻の怖すぎるホラー映画”という印象付けが強烈に行われてしまいました。実際には今見ると、そんなに怖いものではないと思う観客がほとんどだと思います。
まあTV的には誇張して面白おかしくしたいところ。あのナイトスクープの回は楽しめる回だっと思いますし、まあやむなしでしょうか。
なので、今後も上映会やうまくいけばソフト化が実現した際に「なんだよ、話が違うじゃねーか!」と憤られる方も出てくるでしょう。という訳で、ナイトスクープの件は一切忘れて、“60年代にTV放映され、多くの人達にトラウマ的恐怖を植えつけた幻のテレフューチャー作品”くらいに肩の力を抜いて鑑賞に臨むのが正解ではないかと思います。
そうすれば、「なんだよ、話が違うじゃねーか!」じゃなくて、技術的に斬新なところや、TVパイロット版としてのポテンシャルの高さに、逆に得した気分になれるのではないかと思います。
もちろん、私的にも肩透かし的なところもありましたが、それでも観どころは多々ある面白いフィルムだった事は間違いなく、結果的に十分に金沢までの旅費はペイできました。
というか、仲間たちとの金沢までのロングドライブに加え、地面直座りのツラい野外会場、ひしめく人たち、映写機トラブルなどなど、この映画体験は一生ものでしょう。いやぁ、行ってよかったですマジで。
最後に今回の上映に携わった方々に感謝!
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